咖啡屋的人們

吃茶店『珈琲屋』のマスター。ごつい手で淹れる熱いコーヒーは、格別にうまいと評判。町工場で働いていた頃、工場の社長を借金苦による自殺に追い込んだ闇金業者を殺し、十三年間服役する。出所後、亡き父の『珈琲屋』を継ぐ。被害者の妻・冬子宛に何百通も謝罪の手紙を送り続け、「自分は決して幸せになってはいけない」と思い込み、ストイックな日々を送る。他人には靜かな物腰で接し、不思議な包容力があり、町の人たちからは慕われる。かつてトレーナーも勤めていたほどのボクシングの名手。

行介に殺された闇金業者の妻、総合病院に看護師として勤務している。謝罪したいという行介の思いを受け入れられずにいたが、擔當する患者・章枝のアドバイスにより、珈琲屋を訪れる。珈琲の美味しさや、彼を慕う商店街の人たちと觸れあううちに、閉ざしていた心が氷解し始める。行介のやさしさに魅かれて行くが、絕対に好きになってはいけない相手であることも自覚しており、葛藤する。

花屋『アルル』のネット販売を擔當。晝はアイスクリーム屋、夜はキャバクラに勤務する働き者。信條は「タイムイズマネー」で、時間を無駄にしない。店長の島木から毎月お手當を10萬もらい、愛人関系を続けている。計算高く、打算的なところもあるが、行介たちとふれあい、女として変化して行く。

行介の小學校からの幼馴染で、花屋『アルル』店主。小學校のころイジメにあっては行介に助けられた恩もある。一見お調子者で明るいが、実は傷つきやすく繊細な神経の持ち主。行介が唯一、腹を割って話せる友人であり、珈琲屋では“戀愛相談擔當”を自稱する

おでん屋「伊呂波」の女將。美貌と艶っぽさが評判で、どこか謎めいた空気感を醸し出しており、男性客のツボを突く。実は復雑な過去があり、逃げるように叔母が経営していたこの店にやって來た。同じように十字架を揹負っている行介に魅かれていく。

和菓子屋の娘。親に內緒で「珈琲屋」でメイクを楽しむ今ドキの女子高生。ただし、コーヒーは苦手で飲まない。ある日、不景気で苦しむ家業の現実に直面し、ある決斷をする。